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『桜色のレプリカ 1』『桜色のレプリカ 2』

   

翅田大介 先生が贈る新作はヒロイン捜索型学園ラブコメ。しかも1巻と2巻を同時刊行。
「学校」で文学を教える教師が理事長から人探しの依頼を解決するまでの顛末を描きます。
(イラスト/町村こもり 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/739.html
https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/738.html
https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/series/186/


「学校」に赴任して二か月。人間論を教える“六方”が“二階堂”理事長からの依頼を
もとに該当人物の候補として目をつけた“百合原”“五十嵐”“四十田”“三十刈”の
女子生徒とのふれあいや“七堂”先生との付き合いぶりは一見、学園ラブコメだが──。

冒頭で“三十刈”の描写に度肝を抜かされつつ、「学校」周辺の環境が特異だと少しずつ
明らかとなっていくことで理事長の依頼がいかに難題か、“六方”も読み手としても考え
させられることになります。古典文学を通じて例え、探ろうとするあたりが興味深い点。

生徒の中に狡猾に紛れ込んだ人物が突き止められないことに時に苛立ち、時に怯えの表情
を見せる“六方”。ついつい生徒たちにもあたってしまう“六方”の前に突如求めていた
「彼女」が驚くべき事実を引っ提げて現れます。イラストと共に続く「引き」が強烈です。


2巻では、口止めされた「彼女」と“六方”とのやり取りを通じて「自分らしさ」とは
何かを自分たちなりに突き詰めていくことに。教師としての役割に絶望感を抱いた彼が
生徒たちや“七堂”先生との距離感にすら疑念を持つのも無理はない、と共感できます。

「学校」を巡る環境が急激に変化して生徒・先生のくびきから解放された中、変わりゆく
ヒロインたちの様子が焦点の一つ。中でも“三十刈”が示した「恋とは、愛とは何か」の
解釈を披露した場面は“六方”の、そして物語を動かす重要な鍵として印象に残ります。

「彼女」のデレっぷり、キレっぷりに圧倒されつつ“六方”が貫き通した想いとその結末。
「学校」に一本、寂しく佇む桜の木が咲かせた奇蹟の花に乗せられた希望と共に、未来に
幸あらんことを願うばかりです。記憶に残る作品でした。心からオススメしておきます。

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