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追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ3

   

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ3 (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
街にクリスマスソングが響く季節。ユミたちの問題を解決した俺は、また普通の日常に戻る、そう思っていた。なのになぜ、お前が俺の学校にいる?なぜ俺との記憶を喪っている?いや、それよりもなぜ、ハルカの本性が消失しているんだ―?初の事態に俺は、解決の糸口を探す為、驚くほど優しいハルカへの接近を試み、一緒にテスト勉強や、クリスマスパーティーの準備をしたりと、暖かさと違和感を覚える毎日を過ごしていたが、クリスマス当日、今のハルカからありえない筈の言葉を投げかけられ―「篠山くんが『篠山マサキ』だったんだね」こいつは…とびきり面倒な現象に巻き込まれたらしいな。

風間ハルカの変貌の真実を探るための篠山マサキの奮闘。新たな伝承を頼りに過去へ干渉する手段を獲得したマサキの行動が起こした軌跡と、ハルカが密かにとっていた行動の真意。タイムトラベル風の要素を多分に含んだミステリアスな世界観と二人の時空を超えた恋愛模様が壮大なスケールでひとつの結末に収束していく展開に感動しました。

きっかけは、自分が後悔している過去と縁を切るために行われる伝承を試したこと。未来がどうなるか、その事実を認識した状態で日常での選択肢をとる。たとえば、『あのとき、ハルカ(優しいver)に声をかけていれば……』『ハルカ(優しいver)と二人きりで勉強会をやるなら他のクラスメイトに声をかけなければ……』。失敗した選択肢をもと、自分の都合のいい展開を辿るために過去をやり直す。
この作品における『篠山マサキと風間ハルカの運命の結末』という大本命のほかにも様々な場面で伝承が活用されていて、『追伸、ソラゴトに微笑んだ君へ』ならではの持ち味が発揮されている素晴らしい作品でした。

そして、皮肉なことに風間ハルカの起こした行動がきっかけで、二人の風間ハルカが生まれてしまったわけだけれど、主人公との接触をもつ機会を設けることでハルカ(優しいver)の個性を引き出していて、決して叶わないとわかっていても『このハルカにいなくなってほしくない!』と思ってしまう。二人のハルカが共存できないだけに、3巻のクリスマスイベントや喫茶店勉強会のあれが無性に恋しくなる。

しかし、最後には本家本元のハルカが読者(自分)のぐらつく優柔不断な思いを吹き飛ばす、一世一代の告白を見せてくれて評価を一変することができました。やっぱりメインヒロインは、デートの5分前に待ち合わせ場所に到着しても理不尽にキレるハルカで間違いない。

イラストレーターの美和野らぐさんの描くハルカは素晴らしかったです。個人的にはメガネを付けた姿とラストの泣きじゃくるところのシーンが一番好きです。
このシリーズはハッピーエンドをむかえ、ファンとしても最高の終わり方だと思います。これからの作者の活躍を楽しみにして、次回作に期待したいと思います。