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『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXIII』感想

   

ストーリー
ポルミニュエとの結婚が決まり、テトジリチ家とユルグス家の間で起こった悶着に頭を抱えるマシュー。長きにわたった治療が終わり、兵として復帰するハロ。父や兄と共に、新たに心を奪い立たせるトルウェイ。准将という地位に困惑しきりのサザルーフ。独特のやり方でトリスナイ宰相との距離を縮めるヴァッキェ。帝国国民議会を開き、新たな政治を打ち立てようとする女帝シャミーユ。そして、そんな彼ら彼女らを温かく見守りながら、カトヴァーナ帝国を正しい未来へと導くために、いよいよ動き出すイクタ。キオカ共和国との決戦を前にした静かな日々は、まもなく終わりを迎える――。

完結間際の巻にして決戦前の日常回。
完璧な悪に見えた彼にもそれなりの事情があり、また周囲からは無謬たる元帥に見えるであろう彼にもまた弱さがある。
最終巻手前にしてなお、キャラクターを深めていく姿勢に拍手。しかしこれ、本当にあと1冊で終わるのか……?


マシューとポルミの結婚、そしてハロの復帰といっためでたいこと。
三国会議によって得られた技術革新、そしてイクタ主導で行われた爆砲実験といった戦争にまつわること。
ページ数は少なめながら、最終決戦に向けたさまざまなエピソードを詰め込んだ1冊となっています。
それにつけても目立つのはイクタの辣腕ぶり。いつもの怠けはどこへ行ったんだというくらいの働きで、逆に心配になってしまいます。
技術革新だって、これが戦争に用いられることで間違いなく戦いの規模は大きくなるわけで。イクタだけではなく、ジャンにもだんだん思い入れができてきた今、これから待ち受ける決戦のことを思うと憂鬱です。


色んなキャラクターの一面を垣間見ていく中で、なんともはや、ここであの人のエピソードを盛り込んでくるとはね! 一瞬誰だか分からなかったよ!
彼がやったことは到底許せるものではないんだけれど、こういう風にして人生を描かれると、また違った思いが湧き上がるというか。全てに踊らされてきた弱者の悲哀を感じます。人は必ずしも、英雄としてばかり生きていけるわけではないのだ。
サザルーフもなあ。やりきれないよなあ。でも、ここで直接手を下せないから、この人は好きなんですよ。本人としてはね、そんな簡単に片付けられない感情があるのでしょうけれど。
そして最後、イクタとハロのシーンは、これまでのイクタの活躍ぶりとの落差で非常に印象に残る場面となりました。
元帥になっても、イクタはイクタ。守りたいもののため、誰よりも臆病な彼にできることは何か。隣に立つ仲間たちが、少しでも彼の支えになれればいい。
泣いても笑ってもあと1冊。決戦の先にはどんな未来が待ち受けているのか。期待して待つことにしましょう。


サリハ兄様、いいキャラになったもんだ。