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僕と君だけに聖夜は来ない

   

僕と君だけに聖夜は来ない (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
「好き」――彼女はそう言って、何度も死ぬ。
12月24日の夜。高校生の理一は、片想いの相手・なつみと結ばれる。しかし喜ぶ間もなく目の前で彼女は命を落とし、気づけば2日前に戻っていて…。「好き」をトリガーに時間が巻き戻ることを知った理一。大好きな彼女の告白を回避しようとするが、どう足掻いてもなつみは告白し、死んでしまって、そしてまた―「好きだよ、理一。君が好き」クリスマスイブに閉じ込められた理一は、繰り返す悲劇を越え、未来を手に出来るのか。

決して抜け出すことのできない12月24日をループする日々。突如見舞われた謎の現象を前に、はじめはただの悪夢だと勘違いしていたが、何度も目の前でなつみが命を落とす瞬間を目にするうちに精神を摩耗していく。理一の心境が刻々と変化していく様子が丁寧に描写されており、『ループ』が起きるためのトリガーを冷静に突き止めて現実的な対策を試行錯誤していく展開が面白かった。
なつみからの「好き」をトリガーにするのであれば、彼女と物理的・心理的距離を離せば解決すると思いきや、文明の利器“LINE”の通知が絶えず鳴り響いて心を惑わせ、恋仲になれるほどの良好な関係を壊すために嫌われようと努力をしてもたったの2日で覆せるほどのやわな関係ではない。むしろ、『理一の態度が急に変わった事実を心配する』とても健気で最高のヒロイン像を作り上げていて余計に身を引き裂かれるような思いに駆られる始末。
これだけの生き地獄に晒されて、両思いの理一となつみが決して結ばれることのない世界を味わわされたら感情が揺さぶられ過ぎてどうしたらいいかわからない。
最高のヒロインと最悪の展開のダブルパンチが急所に刺さって、傑作ではあるけれど切なくて悲しい物語でした。

僕と君だけに聖夜は来ない (角川スニーカー文庫)

僕と君だけに聖夜は来ない (角川スニーカー文庫)